「無理だと思っていた」池井戸潤さんが語る、映画『シャイロックの子供たち』

「週刊文春」編集部
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 2019年10月。映画『シャイロックの子供たち』の撮影現場には、カメラを構え、鋭い視線を送る原作者の池井戸潤さんの姿があった。この日は、シェイクスピアの戯曲『ヴェニスの商人』を観劇するシーン。強欲な金貸し、シャイロックが登場する象徴的な場面だ。取材も兼ねて、池井戸さんはシャッターを切っていた。

撮影 山元茂樹

 本作の舞台は東京第一銀行長原支店。行内の現金紛失事件に、お客様係の西木雅博(阿部サダヲ)は、部下の北川愛理(上戸彩)、田端洋司(玉森裕太)と真相を追う。

「この作品の映像化は無理だと思っていた」と池井戸さん。

「原作は様々な立場の銀行員を主人公にした連作短編で、西木も途中で失踪してしまう。2時間の映画になるよう、原作とは異なる展開に改編するお手伝いをしました」

『ヴェニスの商人』の場面では劇団四季の貴重な衣装が使われた。舞台好きでもある池井戸さん(右)は本木監督と語らう/撮影 山元茂樹

 本木克英監督が語る。

「原作が描くのは、善か悪か、という人間の二面性。繊細な心情をリアルに表現できる俳優陣によって深奥な人間ドラマが撮れました」

役者の前にサラリーマンだった主演・阿部サダヲさん(左)は「背広姿ばかりの現場は新鮮。サラリーマンに観て欲しい」/撮影 三宅史郎

 金の誘惑に、魂を売った銀行員。横領、巨額詐欺、裏切り……息もつかせぬコン・ゲーム(騙し合い)の果て、真相に辿り着いた西木から、あの“名台詞”が飛び出す。

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source : 週刊文春 2023年2月23日号

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