いよいよマスクをはずす日が近づいてきた。
今や「顔のパンツ」と言われるマスク。それをはずすのは、とても勇気のいることではなかろうか。
私もその勇気がない。コロナ禍の間に、マスクの下であきらかに口角は下がり、法令線もくっきり。これを大っぴらにするのもなんだかなあ……。実はコロナ禍が始まった頃、ズボラな私は、
「これで化粧をしなくて済む」
と密かに喜んだものだ。真夏も何ひとつ化粧せず、近くの買物にも行き電車にも乗った。そうしたら頬に大きなシミをつくり、それはまだ消えていない。それを見るたびに大いに反省している。
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source : 週刊文春 2023年3月2日号