老人は強欲だというイメージをもっているのは、わたしだけだろうか。子どものころ「欲張りじいさん」の昔話で植えつけられたのかもしれないが、たとえば「守銭奴」というと、老人のイメージがある。ハツラツとした若者が守銭奴だということは想像しにくい。
わたしが抱く守銭奴のイメージは、深夜、薄暗い部屋で1人、金を数えて満足の笑いをもらす老人だ(薄暗いのは電気代を節約しているからだ。1人なのはみんなに嫌われているからだ)。もれる笑いは「ワッハッハ」や「テヘヘ」ではなく、「イヒヒ」だ。若者が絶対に立てない笑い声だ。
老人になると分かるが、このイメージは誤りだ。強欲どころか、無欲になる。
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source : 週刊文春 2023年3月16日号