WBC優勝の原動力となったのが、大会MVPの大谷翔平(28)だ。投打の二刀流を続ける高い身体能力に加え、礼儀正しく、その振る舞いや言葉でチームメイトを鼓舞する。それでいて相手をリスペクトし、謙虚に野球を楽しむ姿は、ファンを惹き付けてやまない。
両親がどう育てれば、このような青年になるのか。幼少期の大谷をよく知る人たちの証言から辿る。
大谷は1994年7月、岩手県水沢市(現・奥州市)で、3人きょうだいの末っ子として誕生した。
同県北上市出身の父・徹さんも元球児。県立黒沢尻工業高校時代は左の強打者でならし、社会人野球では三菱重工横浜で俊足巧打の選手として、25歳まで現役を続けた。同社で職場結婚したのが、1つ年下の母・加代子さんだ。
神奈川県で生まれ育った加代子さんは、小学校からバドミントンを始め、県立横浜立野高校時代にはインターハイに、社会人になってからは国体に出場。現在スポーツキャスターの陣内貴美子とは同学年で、何度か対戦したが、さすがに敵わなかったという。
徹さんが自動車ボディメーカーに転職し、大谷の2つ上の姉が生まれると、一家は徹さんの故郷である岩手県に移住する。きょうだいの中で唯一、奥州の地で産声を上げたのが大谷だった。翔平の名は、奥州ゆかりの源義経の翔けるイメージと、義経が過ごした平泉から一文字を取って名付けられた。
アスリート出身の両親を持つ大谷の身長は193センチ。徹さんは182センチ、加代子さんは170センチと、背の高さも両親譲り。社会人、プロ野球独立リーグと野球を続けた7つ上の兄も、187センチの長身である。
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source : 週刊文春 2023年4月6日号