「今日夜、死ぬ」
2021年2月23日、19時25分。今にも消え入りそうなか細い声でそう語るベッドの上の女性。だが傍らにいた職員は、「大丈夫、死なないよ。辛いのは分かるけれど、死ぬのは絶対ない」と軽く答えるのみ。そして11日後、女性は亡くなった。
医師の診断では、彼女は脱水と低栄養などが影響し、多臓器不全に至っていたという。
ウィシュマ・サンダマリさん(享年33)が、名古屋出入国在留管理局の収容施設で亡くなってから2年が経った。だが、“事件”は終わっていない。
スリランカで英語教師として働いていた彼女が来日したのは、2017年6月のこと。日本で英語教師になるのが夢だった。
しかし、同居のスリランカ人男性にDVを受け、学校を休みがちになった彼女。除籍処分を受け、在留資格を失ってしまう。そして20年8月、DVに耐え切れずに警察に駆け込んだ。すると名古屋出入国在留管理局は、彼女をDV被害者ではなく、「不法滞在者」として施設に収容したのである。
入管による収容が長期化する中で、ウィシュマさんの体は次第に弱っていく。
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source : 週刊文春 2023年4月13日号