「監査直前には休日だった管理職や担当社員たちまでが呼び出され、勤怠記録やマニュアルなど、必要書類を慌てて準備していました。管理駅以外の駅も対象になり、会社側も慌てたのかもしれません」

 こう話すのは、秋葉原~つくばを結ぶ鉄道「つくばエクスプレス(TX)」を運行する第三セクター「首都圏新都市鉄道」の現役社員A氏だ。2005年に開業して13年。いまや1日あたりの輸送人員が約37万5000人に上り、乗客数は開業時の2倍に増加したTX。だが一方で近年はトラブルや不祥事が続出しているという指摘もある。そんなTXに関して小誌はある内部資料を入手した――。

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「昨年は社員による不正乗車や勤務中のSNSへの書き込みなどが発覚しました。今年に入ってからも南千住駅でポスターボードのアクリル板が落下し、乗客がケガを負う事故が発生しています。『週刊東洋経済』(2017年8月26日号)でもトラブルが続出していることが報道され、その背景として、乗客の増加に会社の体制が追いついていないことが指摘されていました」(経済紙記者)

 小誌が入手した内部資料は、16年5月に実施された国土交通省関東運輸局による最新の保安監査で、“インチキ”が行われていたことを示唆するものだ。どの駅で、どんな内容の監査が行われるのかなど、事前に詳細な監査項目がTX側に漏れていた。

 資料の記述によれば、監査項目が事前に伝わっていたのは、4日間ある監査の3日目にあたる5月26日の運転部門についてだ。そこには〈駅に関する監査予定を確認しましたので至急ご対応をお願いします〉という記述とともに、監査事項(点検する主なもの)として、〈マニュアル類の整備状況〉〈教育訓練の実施状況〉など6項目の書類を指定している。

監査内容が事前にダダ漏れ

「事前に監査事項について把握したTXサイドが、会社ぐるみで資料を準備し、保安監査に臨んだのです」(前出・A氏)

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source : 週刊文春 2018年2月8日号