東京の下町で63歳の男性が顔や首を20カ所ほどメッタ刺しにされ、惨殺された事件。2カ月半後に逮捕されたのは「教員の手本」「優しくて子煩悩」と評判の中学教師だった。笑顔の仮面の下に隠されていた素顔とは――。
桜の花は既に散り、その日は朝から生憎の曇り空が続いていた。それでも男の表情は晴れやかで、マスク越しに笑顔が溢れ出ていた。
4月6日、午前9時半を少し過ぎた頃、東京都内のとある小学校の下駄箱前で、男の家族はカメラマンに促され、記念撮影に応じていた。この日は小学1年生になる長男の入学式だった。
恥ずかしそうにカメラから目を逸らす長男の横で、目尻に皺を寄せながら、優しく我が子の頭を撫でる男。だが、幸せを絵に描いたような写真に写ったその男の手は、わずか41日前に人を殺めていた――。
◇
事件が起きたのは2月24日、午後6時30分頃。
「うわあああ!」
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source : 週刊文春 2023年5月25日号