天才音楽家は、性加害の徹底調査を求めたプロデューサーを切り捨て、「人生で一番大切なことはご縁とご恩」と断言した。彼はいかなる「奉公」でジャニーズの「ご恩」に報いたのか。40年にわたる蜜月を解き明かす。

 

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「長年お慕いしてきた達郎さんの発言は他人行儀でとても残念です。1998年のライブに招かれて以来、飲み歩いては音楽や映画について文化的な会話に興じ、良いお付き合いだったと今でも思っています」

 7月18日、小誌の独占取材に応じたのは音楽プロデューサーの松尾潔氏だ。自身の契約解除をめぐる山下達郎のラジオでの発言に対して、松尾氏は憤りと悲しみを隠そうとしない。

松尾潔氏

「達郎さんは『ご縁とご恩』を大切にしてきたとおっしゃっていましたが、それは社会的公平さの上で成り立つもの。性加害問題に目を背けてきた達郎さんとジャニーズ事務所のご縁とご恩は、ビジネス上の『貸し借り』に過ぎぬという謗りを免れないのでは。偉大なミュージシャンも芸能界の巨大な権力に屈している状況がしみじみと分かり、近くにいた身としても、いちファンとしても胸が痛みます」

 7月9日、ラジオ『山下達郎サンデー・ソングブック』(TOKYO FM)で語った山下の“ジャニーズ忖度”発言が、大きな波紋を呼んでいる。

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source : 週刊文春 2023年7月27日号