藤井聡太とAIが、棋界を変えた――。羽生善治との激闘を繰り広げてきたトップ棋士が、進化する藤井将棋と今後の棋界を読み解く。

木村 いま将棋界最大の関心事といえば、「藤井聡太、八冠なるか」でしょう。最後のタイトル、王座獲得を目指す戦いが進む一方、第94期棋聖戦では4連覇を達成なさったわけで。第64期王位戦では3連勝し、4連覇に王手をかけています。破竹の勢いの藤井さんに、棋聖戦と王位戦、連続で挑戦しているのは、深浦さんの愛弟子、佐々木大地七段です。師匠としてはいかがですか?

 

深浦 七冠相手に内容は善戦していると思います。

木村 棋士は、若いうちに戦術を研究し、実戦で鍛えて強くならないと、その後伸びていかないものです。佐々木七段は、いずれ藤井さんに戦いを挑む棋士になると思っていました。

深浦 私が驚いたのは、王位戦第1局で「横歩取り」(後手の角道を開けた歩を先手の飛車が横に取る)を選んだことです。AI的には評価が低い戦術なので、ここ数年あまり採用していなかったんじゃないかな。タイトル戦ならではの選択ですよね。とっておきの戦術を持ってくるのが番勝負の醍醐味なわけなので。

 

木村 確かにそうですね。そういえば、深浦さんが初めてタイトルに挑戦した、1996年の第37期王位戦でも、羽生善治さんを相手に、普段、全然やらない「中飛車」を採用して話題になりましたよね。師匠が弟子に何か教えたのかと勘繰っちゃった。

深浦 知ってたら止めてました(笑)。私の影響はないと思いますよ、彼は師匠の将棋は見ないし。ただ、横歩取りはやってみないとわからない戦型ですから、よくぞ戦ったと思いました。

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source : 週刊文春 2023年8月17日・24日号