株主優待券を有効期限内に使うため、街から街へ自転車で疾走する――。そんな姿がテレビで放映されると、キャラクターの面白さも手伝い一躍有名人に。いまや「株主優待で生活する個人投資家」という肩書きが定着している桐谷広人さんだが、元は七段のプロ棋士だ。知られざる棋士時代の苦労を語ってもらった。
将棋が大好きだった父親に駒の動かし方を教わったのは、広島で暮らしていた5歳の頃です。高校3年の2学期に、同郷の松浦卓造先生(八段、1915~77)にプロ入りの相談に行くと、「升田氏に紹介してやろう」と言われて。思いがけず、昭和の将棋界の大スターであった名人・升田幸三九段(1918~91)に弟子入りできたのです。
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source : 週刊文春 2023年8月17日・24日号