世界に衝撃が走ったのは10月7日のこと。パレスチナ自治区のガザ地区を支配するイスラム組織ハマスが、イスラエルに向けてミサイル攻撃を行い、さらに戦闘員を送り込んだ。道路に散らばる遺体、拉致される人々……この惨劇の行方は。
すでに、イスラエル、ガザ地区の双方合わせて1000人を超える死者が出ているとされる。軍事ジャーナリスト・黒井文太郎氏が解説する。
「イスラエルは今までもテロ攻撃を受けたことはありましたが、民間人も含めてここまで大きな被害を受けたのは初めてです。ハマス側はロケット弾をまだ全部撃ちきっていないという見立てもあり、多ければ全部で1万発はあるとも言われています」
イスラエルと言えば、世界最強の情報機関「モサド(イスラエル諜報特務庁)」を持ち、安全保障に全力を投じてきた。モサド関係者を長年取材してきた国際ジャーナリスト・山田敏弘氏は、その諜報力をこう話す。
「モサドをはじめ、イスラエルの諜報機関は、パレスチナ人たちのスマホやデジタルデバイスのすべてをハッキングして監視下に置ける。デジタルで監視しきれない部分は、家に入って盗聴器を仕掛けることまで徹底的に行っている」
しかし、モサドのエフライム・ハレビ元長官はCNNのインタビューで、「攻撃は想定外だった」と述べた。自衛隊の元幹部が話す。
「ハマスは、ロケット弾をバラバラにして持ち込み、ガザ地区で部品を組み立てたのでは。海からパーツを持ち込んだという話もあり、ビジネスマンなどが協力した可能性もある。イスラエルは、兆候を察知すれば、先制攻撃を厭わない国ですが、今回はできていないのが何も知らなかった証左です。“攻め”に強い一方で、第4次中東戦争で奇襲を受けたように“守り”に弱いところもある」
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source : 週刊文春 2023年10月19日号