東京都・渋谷のNHK放送センター1階に衣裳部屋はある。ここでは日夜スタッフたちが慌ただしく作業をしている。
例えば、織田信長が本能寺の変で、敵に斬られ白い夜着が血で赤く染まっていくシーン。血糊の濃淡を何度も試行錯誤しながら染色し、信長の最期をドラマチックに表現していた。だが、衣装が破損すれば、次の撮影までに手直ししなければならない。まさに時間との闘いなのである。
その衣裳部屋から出てきたベテランスタッフが廊下を足早に進み、エレベーターで7階のリハ室へと向かった。広大な施設であるためリハ室へ行くのも一苦労だ。
予定時間から遅れること15分、黒のキャスケットに黒いマスク姿の“殿”が入ってきた。彼はきまって15分遅刻する。
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source : 週刊文春 電子版オリジナル