「アルツハイマー型認知症は“脳の糖尿病”です。人は不適切な食事をすることで糖尿病になりますが、それと似ていて、不適切な食事が認知症を発症させるのです。つまり、普段食べている食事を改善すれば、糖尿病だけでなく、認知症の予防にもなるのです」
そう警鐘を鳴らすのは、糖尿病専門医で「認知症にならない100まで生きる食事術」(文春新書)を上梓した「AGE牧田クリニック」の牧田善二院長だ。
「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」(九州大学・二宮利治教授)に基づく内閣府の推計によれば、65歳以上の認知症の患者数は2020年に約602万人。25年には約675万人と、高齢者の5.4人に1人が認知症になると言われている。
「ある保険会社の調査によれば、一番罹りたくない病気はがんを上回って認知症だといいます。早期発見によって完治する可能性が高いがんと違って、認知症は治らない病気であることも理由なのでしょう」
高齢者は80歳を超えると認知症の有病率が2割を超える。特に女性は、90歳以上の71.8%が認知機能に何らかの問題を抱えてしまう。
認知症は、人生100年時代における最大の課題と言っても過言ではない。糖尿病に罹ると認知症リスクが高まることは、データでも裏付けられている。
「認知症の60〜70%はアルツハイマー型認知症と言われています。糖尿病の人はそうでない人に比べ、アルツハイマー型認知症に1.6倍なりやすい。また、血管性認知症の場合でも2.5倍なりやすいとの報告があります。今の段階で、糖尿病と診断されていなくても、血糖値が高い人は要注意です」
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source : 週刊文春 2023年10月26日号