「ひざを切らない“再生医療”をご提案!」
俳優の小泉孝太郎が白衣姿で爽やかに語りかけるテレビCMに、見覚えのある読者も多いだろう。
ひざが痛む、水が溜まる。中高年の多くが悩まされるこの症状を引き起こすのが変形性ひざ関節症だ。ひざ関節の軟骨がすり減ることで痛みが発生する疾患で、厚労省の試算では国内の患者は約3000万人に上る。男女比は1対4と女性のほうが多いのも特徴だ。
「従来、ひざ関節症が悪化して痛みが酷くなったり歩行に支障をきたすようになった場合の治療法は、外科手術でした。手術でひざ関節に人工関節をはめ込み、すり減った軟骨の代わりとするものです。しかし、ひざを切る手術に心理的抵抗を感じる人も少なくない。そんな中、最近増えてきているのが『再生医療』を謳うクリニック。再生医療の一部は厚労省に申請が必要ですが、ひざ関節を扱う医療機関でこの申請をしているのは約650院に上ります」(医療専門紙記者)
広告に小泉孝太郎を起用して再生医療をPRしているのが「ひざ関節症クリニック」だ。2015年に東京・渋谷で開院したのを皮切りに次々と拠点を増やし、現在では全国に16のクリニックを擁する。
同様のクリニックは雨後の筍のように増えている。今年4月に東京・銀座で開院した「ひざの痛みクリニック」は、テレビCMに歌舞伎役者の片岡愛之助を起用。こちらも公式HPには再生医療の文字が躍る。一体どのような治療なのか。
1回120万円の注射も
「一般的に『再生医療』とは、病気や怪我で機能不全となった組織や臓器を再生させるもの。山中伸弥京都大学教授のiPS細胞が代表例です。つまり『ひざの再生医療』とは、すり減った軟骨を再生・修復する治療のこと。実際に治療前後の写真を並べ、軟骨再生をアピールするクリニックもあります」(同前)
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source : 週刊文春 2023年11月9日号