若きタカラジェンヌの死の背景にあった上級生による壮絶イジメ。だが、劇団は11月14日の調査報告会見でそのすべてを黙殺した。一方、宝塚のトップスターたちからはついにパワハラ環境の改善を求める怒りの声が――。

 22枚のA4用紙は、地獄のような日常を脱する一縷の望みになるはずだった。だが、下級生たちの淡い期待は容易く打ち砕かれた――。11月14日、宝塚歌劇団理事の井塲睦之(いばのぶゆき)氏が外部の弁護士による調査報告書を淡々と読み上げた後、木場健之(こばけんし)理事長がこう述べたのだ。

「イジメやハラスメントは確認できなかった」

11月14日の劇団会見の様子

 宙(そら)組のタカラジェンヌ・有愛(ありあ)きい(享年25)の自死から45日。下級生たちの胸には、悲痛な思いが波打っている。

亡くなった有愛きい

「劇団の会見はウソばかりでした。どうすれば私たちの声は劇団に届くのか。どうすれば隠蔽されず事実が伝わるのか。ずっとずっと考えています。劇団の在り方に、皆が心身共に崩れていっています」(下級生)

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source : 週刊文春 2023年11月30日号