「埋蔵金」という言葉を聞くと、80年代後半から90年代前半にテレビに夢中になった世代は、徳川埋蔵金、赤城山、糸井重里……といったフレーズが自然と脳裏に浮かび上がってくるだろう。糸井重里らが『ギミア・ぶれいく』(TBS)で赤城山に眠ると言われる埋蔵金の大規模な発掘企画を行った。「あるとしか言えない」と信じ、今回こそはと釘付けになって見る一方で、いや、もし発見していたら放送前にニュースになっているはずと、ある種の自己防衛でどこか冷静な自分もいた。そんな“ロマン”と“現実”の両方を教えてくれた企画だった。
その一大プロジェクトを「あそこ掘ってもムダだよ」と一蹴していた男がいる。それが八重野充弘。糸井本人にも「素人騙しはやめなさい」というメールまで送ったという。その八重野に密着したのが、『クレイジージャーニー』だ。彼のモットーは「土を掘るより、資料を掘れ」。そのため実際に掘ったのは16箇所で、小判1枚も見つけたことがない。にもかかわらず、いや、だからこそ情熱が冷めることがない。
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source : 週刊文春 2023年12月14日号