「彼女は自民党の保守派がまとまれない象徴だ」と、政治部記者が評するのが、高市早苗経済安全保障相(62)である。

「ポスト岸田」への意欲を隠さない高市氏は、2月8日、自民党の右派系議員による「保守団結の会」の勉強会に参加。そこで「国家観をともにする保守団結の会の皆さんに、絶好のタイミングで説明できてうれしい」と挨拶した。

 高市氏が参加した名目は、彼女が所管する経済安保情報保護法案についての講演だったが、記者たちは「安倍派の分裂で『高市派』の誕生か」と色めき立った。というのも、その前日、高市氏の最側近で、「団結の会」共同代表の高鳥修一衆院議員が「一議員としてやり直す。団結の会の共同代表のままで勉強会を頑張る」と、地元・新潟で安倍派離脱を表明していたからだ。

 だが、安倍派の関係者は、「高市派なんて夢のまた夢」と明かす。

 実際、高鳥氏は勉強会の後、記者団から高市氏との連携を問われ、「団結の会は『総裁選には絡まない』と結成時に決めている」と一蹴している。さらに「結果として高市氏を支援するのか」と問われても、「結果として思想信条が近い人を応援することは自然」と受け流した。

 高市氏支援を明言しないのは、周囲の議員たちの気持ちが離れつつあるからだ。高鳥氏は地元支援者に、こんな愚痴を吐いている。

「高市さんに安倍派離脱を事前にメールで知らせたが、折り返しの電話もない。メールの返信もない。党内で『高市ファン』が増えない理由がよく分かる」

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source : 週刊文春 2024年2月22日号