安倍晋三元首相の地元・下関には、かつて事務所を取り仕切る“筆頭秘書”がいた。選挙区事情に精通し、酒席の会話まで代議士に耳打ちする懐刀は、事務所に司直の手が迫ると、全ての罪を被った。しかしその姿は今――。
「主人があのような形で亡くなってからあっという間に1年半が過ぎてしまいました。(略)吉田松陰先生を主人は本当に尊敬をしておりましたけれども、吉田先生と同じ『吉田』の名前をもつ吉田さんが主人の後を継いだというのも何か大きな意味があるのかなと」
モスグリーンのスーツに身を包んだ元ファーストレディは時折微笑みながら、“アッキー節”を披露していた。
1月20日、山口県・下関駅近くの商業施設内の会議室で、吉田真次衆院議員の後援会発足式が行われた。後援会会長として挨拶したのは、故・安倍晋三元首相の妻・昭恵氏である。かつて安倍氏が地元・下関で後援会の会合を開けば1000人近くが集まったが、この日は400人程度。大物国会議員の列席はなく、安倍派の県議や市議の欠席も目立った。
来賓の杉田水脈(みお)衆院議員らの祝辞の後、事務所の秘書たちがステージの前に並び紹介されていく。会場の片隅で、その模様を黒いスーツ姿の“ある男”がじっと見つめていた。
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source : 週刊文春 2024年2月22日号