ヒトの恋愛感情というものは、ときに常識や倫理を軽々と超えてしまうものらしい。
康暦元年(1379)頃の話である。完成して間もない室町幕府の花の御所にて、雅やかな管絃の会が催された。このとき将軍義満は22歳。その若さで前年8月には右大将に任ぜられており、祖父の初代尊氏、父の二代義詮(よしあきら)の官職を着実に踏襲していた。また2月からは、楽器の嗜みとして、笙(しょう)も習い始めており、公家文化に馴染むための準備は万全に整えられていた。
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source : 週刊文春 2024年2月29日号