現代社会で怪しい宗教団体が最初に社会問題としてメディアに採り上げられるのは、だいたい献金をめぐる元信者とのトラブルである。「信教の自由」が保障されている以上、人がどんな宗教を信じていようと構わない。ただ、信者に対して常識を超える額の献金を求め、それにより信者やその家族の生活が破滅するようでは見過ごすことはできない。
しかも、多くの場合、献金された財産がどのようなかたちで使われているのか、当の信者たちには皆目分からない。まるでブラックボックスなのだ。ひょっとしたら教祖や幹部連中の遊興費に充てられているのかも知れないし、良からぬ運動の資金にされているのかも知れない。しかし、信者にそれを確認する術は無い。
僕らよりも遥かに信心深かった中世の人にとっても、この問題は相当に深刻だった。
初回登録は初月300円で
この続きが読めます。
有料会員になると、
全ての記事が読み放題
既に有料会員の方はログインして続きを読む
※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。
source : 週刊文春 2024年3月7日号