名門派閥から“姫”が離脱するという衝撃的な出来事から約1カ月。動揺が広がる中、派内きっての能吏として知られた男は、周囲にこう語っていた。
「派閥には出方ってものがある」
昨年までは54人を擁した、茂木敏充幹事長率いる茂木派。だが、その崩壊が止まらない。
「1月31日、西銘恒三郎元復興大臣が退会届を提出。退会者は計8名となりました」(政治部デスク)
茂木派こと「平成研究会」といえば、吉田茂、田中角栄両元首相の流れを汲む保守本流派閥。竹下登氏、橋本龍太郎氏、小渕恵三氏といった歴代首相や“参院のドン”と呼ばれた青木幹雄氏を輩出してきた。
「そのため茂木派は、小渕優子選対委員長や橋本岳元厚労副大臣、青木一彦参院議員といった“政界ロイヤルファミリー”の子女たちに支えられてきた。その一角を担ったのが加藤勝信前厚労相です」(同前)
元大蔵官僚の加藤氏は加藤六月元農水相の娘婿。歴とした“政界ロイヤルファミリー”の一員である。
「2000年の衆院選では民主党から出馬準備を進めたものの、橋本龍太郎氏の口添えで自民党入りし、03年の初当選後に橋本派に入会。派閥の首相候補として、領袖の茂木氏のライバルでもあった」(同前)
そんな茂木派では1月25日に小渕氏が退会宣言。呼応するかのように、青木氏ら4人の参院議員も続々と退会した。こうした動きを、息を潜めて見つめていたのが加藤氏だった。
「小渕氏の退会が報じられた際、加藤氏は真っ先に小渕氏に電話して『党の執行部だから派閥を抜けるんですよね?』と3回も確認したそうです。かつて党議決定された政治改革大綱に“党執行部の派閥離脱”が明記されていることから、選対委員長の小渕氏もこれに準じた離脱であり、茂木派に遺恨がないことを確認したのです」(茂木派関係者)
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source : 週刊文春 2024年2月29日号