今年デビュー50周年の「ホラーの帝王」。だが真に恐ろしいのは、いまも毎年傑作を発表し続けているということ。まだ読んだことない? どうぞこちらへ…
案内人 朝宮運河
膨大な作品数につい怖気づいてしまうキング・ワールド。飛び込みたくても1冊目が分からないという貴方に、キング作品に通暁した怪奇幻想ライターの朝宮運河さんが、デビューから現在までの代表作の数々をご紹介。キング50年の歩みを案内してもらった。
「キングは作品が多いのでそこが悩ましいですよね。でも、往年の作品はもちろん、近年の作品も拍車がかかって面白い。どうぞ最後までお付き合いください」
スティーヴン・キングは1947年アメリカのメイン州生まれ。1974年に長編『キャリー』でデビューしてから、50年にわたりエンターテイメントの第一線で作品を発表し続けてきました。しかも、どんどん進化を続けている、まさに怪物的な作家です。ただ根底にあるものは変わっていないと思います。それは「恐怖を書く」ということ。超自然的なものを書くときも、犯罪や、男女関係や夫婦の問題を書くときも、必ずそこには恐怖や不安があって、物語を大きく動かす動力源になっています。
Ⅰ 初期の名編たち 「恐怖小説の究極」まで
『キャリー』(74年=原書刊行年、以下同)は超能力もので、いまで言う宗教2世が主人公です。お母さんがカルト宗教の熱心な信者で、そういう家の子ということで学校でもイジメられている。そんなキャリーは強い超能力の持ち主で、ついにパワーを全開にし、破滅をもたらすんです。
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source : 週刊文春 2024年5月2日・9日号