「いい加減な採用活動は一般職に限らない。今春、幹部候補の総合職として入社予定だった学生にもお粗末な対応をしていたのです」
いなば食品の現役社員A氏は何度でも憤る。
不祥事続きの缶詰製造大手・いなば食品は、足元から大きく揺らぎ始めている。
「弊社ではすでに来年春入社の学生に内定を出していますが、残念ながら入社を確約した学生はほぼいません」(同前)
非上場のオーナー企業である同社では、稲葉敦央社長(70)と妻の稲葉優子会長(55)が絶大な権限を握る。今年3月、入社辞退者を続出させた社員寮の“ボロ家ハラスメント”も会長の指示と承認のもと行われたものだった。事前の説明と食い違う粗末な寮への入居強制は、同社の静岡工場に配属された一般職社員に対して行われたが、従業員の尊厳を傷つけるぞんざいな扱いは幹部候補生に対しても変わらない。
「総合職採用の内定者の中に京都大学出身のⅩさんという女性がいましたが、彼女もまた社長夫妻から“ハラスメント”を受け、内定を辞退しました」(同前)
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source : 週刊文春 2024年6月20日号