英紙が東京五輪招致を巡る疑惑を報じた翌日、豪州の名門大学で披露されたのは、創設者である亡き治則の銅像だった。治之も大学の名を冠した法人を立ち上げるのだが……。

 

 2度目の東京五輪の開催が決まった“ブエノスアイレスの歓喜”から約3カ月後――。2013年12月、世田谷区内に高橋治之の3階建ての新居が完成した。

 もともとこの場所には、治之の父、義治がNET(現テレビ朝日)に勤務していた当時に建てた3階建ての豪邸があった。広い庭には犬好きの母、朝子が可愛がるスピッツが何匹も走り回る優雅な環境で、治之は結婚して子供が出来てからも、増築を施して両親と同居していた。

 ところが、ある時、親子で諍いになり、義治は売り言葉に買い言葉で、こう治之を詰った。

「俺がお前の年の頃には、もう家を建てていたぞ。いい年をしていつまで親の家に住んでいるんだ」

 この言葉にカチンときた治之はこう食って掛かった。

「何を言ってんだよ。俺は長男だし、親と一緒に住まなきゃいけないと思って、ここにいるんだろ。家なんかすぐにでも建ててやるよ」

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source : 週刊文春 2024年7月11日号