安倍晋三元総理が銃撃されて、犯行の背景に統一教会(現在は世界平和統一家庭連合)への恨みがあるという話が流れたとき、私は「教団に天罰が下った」と感じました。
山上徹也被告のお母さんの1億円を超えるといわれる献金は、ご本人の財産ですから信教の自由の範囲内です。しかし、そのせいで自己破産に至り、家族が路頭に迷うなら、教団は受け取ってはいけません。信教の自由には、「公序良俗に反しない限り」という制約と責任が伴う。現在の教団幹部にはそれがわからず、より多くのお金を集めることしか頭にない。
いまこそ統一教会は、霊感商法、高額献金など、日本社会に対してこれまで犯してきた罪を反省し、謝罪しなければなりません。
元朝日新聞記者でジャーナリストの樋田毅氏の『旧統一教会 大江益夫・元広報部長懺悔録』(光文社新書)が8月20日に刊行された。同書は教団幹部だった大江益夫氏(75)への取材を中心に構成されたノンフィクションだ。大江氏は、教団の責任役員に名を連ねた時期もある古参信者。国際勝共連合や、日韓トンネル事業を進める国際ハイウェイ財団の仕事に携わった。1992年に統一教会の広報担当となり、翌年から99年まで広報部長を務めた。
同書で大江氏は、霊感商法と高額献金が始まった経緯、赤報隊事件と教団との関わりなどの秘話を明かしている。中でも、興味深いのは自民党との長年の交わりである。小誌は樋田氏と共に改めて大江氏に教団と自民党の関係について話を聞いた。
この本の出版を止めさせようとして、教団本部から代わる代わる人が来ました。「内情を暴露するなんてお前は教団を潰す気か」と言うわけです。先日は、教会改革推進本部長の勅使河原秀行さんがやって来ました。
ちょうど、1億円を超える献金をした高齢の信者に書かせた「返還を求めない」という念書が、最高裁で無効だと判断される直前のことでした。そこで私は、「この裁判は絶対に負ける。判決が出たらすぐ、田中富広会長と全役員は、責任を取って辞めなさい。そして勅使河原さん、あなたが中心になって改革すべきだ。高額献金は一切禁止して、厳格なコンプライアンス宣言をしなさい」と逆に言い含めて、彼を帰しました。
統一教会を誤らせた諸悪の根源は、霊感商法と高額献金です。1975年に来日した文鮮明先生が「経済活動に関心をもて!」と号令をかけ、開拓伝道中心だった教団は、本格的な経済活動を始めました。
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source : 週刊文春 2024年8月29日号