候補者乱立で自民総裁選は異例の展開を見せている。推薦人の奪い合いから重鎮たちの鍔迫り合いまで。果たして水面下ではどんな動きが起きているのか。ここでしか読めないコンフィデンシャル(機密)情報をお届けする。

「言ってもないことを書かれてしまってですね……」

 煌びやかな店内は香港風のコロニアルな雰囲気が漂う。7月1日夜、赤坂のANAインターコンチネンタルホテル東京の高級中華料理店「花梨」。〈石破氏、総裁選立候補へ〉と報じた朝日新聞を念頭に、独特な語り口でボヤいていたのは石破茂元幹事長(67)である。

5度目の挑戦となる石破氏

 卓を囲んだのは、菅義偉前首相と前二階派事務総長の武田良太元総務相だ。石破氏が菅氏に「会いたい」と連絡し、武田氏が段取りした会合。2人は当然、総裁選の支援要請があると考えていた。ところが、酒杯を重ねても政策論ばかり。下戸の菅氏は約1時間半で切り上げ、会計を済ませると帰路に。そして近しい関係者を前に淡々と言った。

「何もなかったな」――。

「何としても今度の総裁選挙、小泉進次郎さんに日本の舵取りを託したい」

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source : 週刊文春 2024年9月19日号