「解散総選挙を意識し、政策より人気的なものが強くなる可能性がある」

 

 9月3日、経済同友会代表幹事としての会見でそう述べたサントリーホールディングスの新浪剛史社長(65)。“財界トップ”は、新たな宰相候補に何を求めているのか。

経済同友会では賃上げの実現などにも力を注いできた

 まず強調しておきたいのは、衆院議員が解散総選挙で当選したいがために、誰が国民に“人気”があるかを優先して、総裁指名に至る可能性があるということ。参院議員も来夏の参院選のことを考えているかもしれない。大変心配です。本来であれば、政策がどうあるべきかを充分に議論し、リーダーを選ばなければならない。活発な政策論争を通じて、わが国の将来に対する責任ある決断力と実行力を有するリーダーが選ばれることを期待します。

 政治に今、果たしてほしい役割は、昭和の仕組みを令和に合った形に変えることです。当然、“不都合な真実”をさらけ出すことにもなる。少子高齢化に伴う社会保障費の増大や、アジア情勢に絡む国防費の捻出。そうした厳しい現実にどう向き合うのか。国民に負担を求める局面も出てくるでしょう。そこを逃げずに、真正面から議論して頂きたい。

 日本は長年、昭和に作られた政策のパッチワークでやってきました。教育は金太郎飴的に均質な人を育て、社会保障は働く人が引退した人を支えてきた。いずれも、高度経済成長を前提としたものです。

 しかし、令和の時代には合っていない。今は、多様性やウェルビーイング(個人や社会の良き在り方)が重視される時代です。

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source : 週刊文春 2024年9月26日号