強大化する中国とどのように対峙するべきかを考える本キャンペーン。第1回のビジネス編に続き今回取り上げるのは軍事。中国軍機による初の領空侵犯など、これまでとは違うステージに至った中国の脅威の今を取材した。
8月26日、中国の人民解放軍所属の情報収集機「Y-9」が、東シナ海上空の日本の防空識別圏に侵入した。
「自衛隊は、宮崎県新田原基地のF15戦闘機、福岡県築城基地のF2戦闘機、計2機を緊急発進させました。ところが中国軍機は、引き返すことなく午前10時40分頃から長崎県の男女群島沖で旋回を開始。自衛隊機の警告を無視し、午前11時29分頃、領空に侵入したのです。約2分間、同機は領空を飛行し、その後も周辺での旋回をつづけ、午後1時15分頃、中国方面へと去っていきました」(防衛省担当記者)
中国軍機による史上初めての領空侵犯――。この事態に衝撃を受けた1人が、元統合幕僚長でANAホールディングス顧問を務める岩﨑茂氏である。
「極めて深刻な事態だと認識しております。無害通航権が認められている領海と違い、許可なく領空侵入することは国の主権を犯す重大かつ深刻な事態であり、我が国の安全を脅かすものとして決して受け入れられるものではありません」
強大化する中国による日本への攻勢は、日々強まっている。その隣国とどのように対峙すべきかを検証する本キャンペーン。第2回は軍事面での脅威を取り上げる。
「軍機以外での中国による領空侵犯は過去に2回あります。1度目は2012年に国家海洋局が、2度目は2017年に海警局が、いずれも沖縄県の尖閣諸島沖で、領空侵犯している。これまでは、中国が領有権を主張している尖閣諸島周辺で起こった領空侵入でしたが、今回は九州周辺で起こったという点で、過去の例とは一線を画す重大事案だと言えます」(前出・記者)
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source : 週刊文春 2024年9月26日号