「日中の架け橋になりたい」。そんな夢を語っていた商社マンの愛息を襲った44歳の男。彼を凶行に駆り立てた反日教育、ヘイト動画はいかなるものか。10歳の尊い命が犠牲となってもなお、日本は中国にNOと言えないのか。

 

▶刺殺犯は無職、借金苦でブラックリスト入り
▶昆虫好き男児を喪った浙江省出身母と商社マン父の痛恨
▶「スパイ養成機関だ」「小鬼子の首を切れ」ヘイト氾濫

 

「本当に中国が好きな男で日中問題にも深く関心を持っていて、正義感も強い。2010年頃、彼が上海大学に留学していたとき、中国人同士の喧嘩を止めに入り、逆にボコボコに殴られたことがあった。頭から流血して入院したそうです。それくらい彼は中国と中国人に対して、真正面から向き合ってきた。常々『日中間の架け橋になりたい』と語っていた男です。実は事件が起きた9月18日、共通の友人たちと飲んでいて、彼に電話しようとなったんです。結局、酔っぱらって電話はかけませんでしたが、彼の子供が酷い目に遭っているなんて想像だにしなかった」

 そう絶句するのは被害児童の父、松本宏治さん(仮名)の留学仲間だ。

「中国のシリコンバレー」と称される広東省深圳市は、中国国内で北京、上海に次ぐ第三の都市として知られている。経済特区に指定されたのは1980年。

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source : 週刊文春 2024年10月3日号