死刑を宣せられた被告を、憐れみさえ込めた複雑な思いで見つめる女性がいた。彼女は同世代を生きるものとして、被告の病んだ心情を癒そうと、7年間、文通してきた。精神鑑定の採否について様々な意見も交わされるいま、彼女が明かす被告の“四重人格”とは……。
※「週刊文春」創刊60周年企画「もう一度読みたい、あのスクープ記事60本」より、アンケート得票数の高かった記事を特別再録します。本記事は 1997年4月24日号より転載。記事中の年齢や日付、肩書き等は掲載時のものです。
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「『被告人を死刑に処す』という裁判長の声が、傍聴席の私の席まで聞こえたときは自分の耳を疑いました。まさか、死刑になるなんて予想もしていませんでしたから、信じられない気持ちで一杯でした。次々と溢れてくる涙を拭いながら、証言台に立った宮崎さんを見ると、それまで無表情を装っていた彼の顔が一瞬、動揺したように思われました。
今さらあがいても仕方がないということを彼は知っていたのでしょう。すぐに諦めた様子で、判決理由を聞いていた時には、すでに退屈そうなそぶりでした。まるで、現実から逃避し続けることには慣れているかのように頭のなかでは別のことを考えているようでした」
7年間にわたって獄中の宮崎被告と文通を続けてきた中村敦子さん(仮名=30)は、4月14日、東京地裁で開かれた裁判で初めて会った宮崎勤被告(34)の印象をこう語った。
朝早くから並んで、運良く手に入れた傍聴席から見た姿は、髪が短く刈られ、顔の白さが異常に目立ったという。
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source : 週刊文春 1997年4月24日号