「60年以上続いてきた歴史をここで途絶えさせるわけにはいかない」
こう話すのは朝日出版社の前代表取締役社長・小川洋一郎氏(52)だ。老舗出版社に一体、何が起こっているのか――。
朝日出版社は1962年に設立。大学生向けのドイツ語テキストから出発し、思想や文学や芸術など幅広いジャンルの書籍を手掛けてきた。朝日新聞社や朝日新聞出版と名前が似ているが何の関係もない。
「1991年には篠山紀信と組んだ樋口可南子の日本初のヘアヌード写真集『water fruit』を発売。続いて発売した宮沢りえのヌード写真集『Santa Fe』(サンタフェ)は累計発行部数165万部の大ヒットになった。その一方で、2009年に刊行した加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』は、小林秀雄賞を受賞するなど硬い書籍も得意としています」(出版関係者)
創業者遺族の意向で“M&Aトラブル”が勃発
同社のホームページに〈朝日出版社経営陣からM&Aについての緊急のお知らせ〉とただならぬ報せが掲載されたのは10月21日のことだった。
〈小社のM&A(株式譲渡)のお話は、基本的には株主さまのご都合から生じたものです。経営不振による会社売却などではありません〉
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source : 週刊文春 電子版オリジナル