昨年特殊詐欺に関与したとして、実刑判決を受けて現在は拘置所にいる元俳優・池田純矢がネット上で手書きの文章を発表しました。おそらく、支援者が受け取って上げたもの。「芸能人手書きマニア」の私は、こういうものにだって食指が動く。

 彼の容疑はいわゆる「受け子」。警察官を装って男性宅を訪れ、キャッシュカードをだまし取った様子が防犯カメラに映っていたそう。どんなに譲歩しても、悪いことだと自覚しながらこの行為をしていたのは間違いない。

 ところが、彼が発表した2通の手書き文章をまとめると、謝罪や反省よりも「お手紙を頂く事は出来ませんでしょうか?」という一文が最も言いたいようなのだった。当然、本人不在のネット上で遠隔炎上してしまう。

 文中では自分の「炎上」を予期しつつも、「でもね、“たった一人”でも僕がこうして言葉を発する事で『助けられた』『勇気を貰った』『嬉しかった』そう言って下さる方が居る限り、(発信を)(ママ)めませんよ。炎上なんて怖くもなんともないですよ」「僕はもう一度光輝く為にはどんな努力も惜しまない。どんな逆境にも負けない」と、犯罪行為で収監される立場でありながら、完全に悲劇のヒーローになっている。そして、「絶(ママ)のふち」にいてもファンからの「今でも待ってる」などの言葉に励まされたので、僕に手紙をくれ、と呼びかけているのだ。

 彼は約1年前、実はおそらく特殊詐欺を犯したのとちょうど同じ時期に「人生最大の弱音を吐きます」としてXに長文をしたためていたのだが、この時も自殺を仄めかしながら「一生のお願いです。僕にもう一度足を踏み出す勇気をください。どんな言葉でもいい、あなたからのお手紙を頂けませんか?」と、やっぱり手紙を求めている。

 そういえば、同様に罪を犯して捕まりながらXで積極的に手書き文章を発表している人として、「りりちゃんはごくちゅうです」のアカウントで手記を綴っている「頂き女子りりちゃん」こと渡邊真衣被告がいる。こちらも被害者にはそんなに謝罪していないうえ、刑期も懲役8年6ヵ月と長い。それでもほとんど炎上せず、温かいコメントがたくさんついて好意的に受け止められているし、実際に手紙もたくさん届いているらしい。

 この差は一体何なんだ。

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source : 週刊文春 2024年11月7日号