「梅雨にもかかわらず30℃を超える日が続いています。真夏に比べて涼しいからと油断した高齢者が、いわゆる“梅雨型熱中症”になってしまうという事例が後を絶ちません」

 

 そう警鐘を鳴らすのは、ひまわり医院(東京都)の伊藤大介院長である。梅雨特有の猛暑を乗り切るポイントとは――。

 

▶︎水だけガブ飲みはリスク増

▶︎エアコン設定温度は見るな

▶︎ハンディ扇風機は逆効果

▶︎朝夕散歩後の牛乳で血液量をアップ

 日本では近年“酷暑”が当たり前になっている。昨年5月〜9月にかけ、熱中症で救急搬送された人は全国で9万7千578人(総務省消防庁統計)と過去最高に上った。そのうち、65歳以上が57.4%と最多だ。

 こうした中、梅雨の時期に熱中症が多発している。その理由を伊藤院長が解説する。

湿度が高いと、汗が蒸発しにくく、体に熱がこもりやすくなってしまいます。さらに、梅雨の時期は、まだ体が暑さに慣れていない。そのため、熱中症がジワジワと進行してしまい、本人も周囲も気付くのが遅くなる。そのため重症化を招くことがあるのです」

 

 高齢者にとって熱中症は突然死の原因ともなりうる。

「高齢者は、体温調節機能が鈍くなっているため、喉の渇きを感じづらい。そのため、気が付かないうちに水分不足に陥る『隠れ脱水』になってしまう。また、服用している薬や肥満もリスクとなります。一部の降圧薬(利尿薬やカルシウム拮抗薬など)は、脱水や血管拡張作用から体温調節が困難になり、熱中症のリスクが高まるのです」

 太っている高齢者は、やせている高齢者に比べ、熱中症のリスクが3.5倍高いという論文も出ているという。

 ではどう対策をすればいいのか。熱中症対策の柱は、自宅における過ごし方だ。実は、熱中症の発生場所のうち最も多いのは、38%(前出・総務省消防庁統計)を占める住居内である。

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source : 週刊文春 2025年7月3日号