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スウェーデン人が描いたコミックが、シリーズ累計14万部を超えたワケ

『北欧女子オーサが見つけた日本の不思議』 (オーサ・イェークストロム 著)ーーベストセラー解剖

2017/01/21
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 表紙の絵を一瞥しただけでは、著者が海外出身だと気付かないのでは。子供の頃から母国で日本のマンガやアニメに慣れ親しみ、日本風の表現を自家薬籠中の物にした描き手による、日本とスウェーデンのカルチャーギャップを描いたコミックが、シリーズ累計で14万部を超えるスマッシュヒットを記録中だ。

「これまでも弊社には、『ダーリンは外国人』『日本人の知らない日本語』といったカルチャーギャップを描くコミックエッセイのヒット作がありました。しかし外国の方ご本人が、自分でマンガまで手がけるケースはなかったんですね。シリーズの最初の巻を刊行した2015年の時点では、他社でもほとんどなかったと思います。そこが企画のポイントのひとつでした」(担当編集者の山崎旬さん)

 シャイなようで意外と露出の激しい服を着用し、酒の席で下ネタを嬉々と話す日本女性への驚き。日本語の遠回しな感情表現への困惑。自分の体験を開陳する率直な語り口が、作品の間口を広げている。

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「コミックエッセイは通常、読者の8割から9割は女性なのですが、この本は男女比がほぼ半々。年齢層もコミックエッセイの主な読者層である30代を中心としつつ、60代、70代の方まで幅広く手にとっていただけています」(山崎さん)

 現在シリーズ4冊目も準備中。ユニークな異文化交流の勢いは止まらない。

2015年3月発売。初版1万3000部。現在9刷6万7000部

北欧女子オーサが見つけた日本の不思議 (メディアファクトリーのコミックエッセイ)

オーサ・イェークストロム (著)

KADOKAWA/メディアファクトリー
2015年3月6日 発売

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スウェーデン人が描いたコミックが、シリーズ累計14万部を超えたワケ

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