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「工場のまち」川崎はなぜ“借りて住みたい街”2位になれたのか?

2019/06/22
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さらに29階建てのオフィスビルも建設中

 JR川崎駅の西側にはこの他にも音楽ホールをメインとした「ミューザ川崎」や工場跡地の再開発で建てられたマンションも建ち並ぶ。雰囲気としては東口と対照的に比較的静かで暮らしやすそうな印象を受ける。

 また、こちらのエリアは今後伸びしろもある。現在、JR川崎駅の南西ではJR東日本を主体に「川崎駅西口開発計画」が進む。JRの社有地と隣接地を一体とした再開発事業で、完成すれば地上29階建てのオフィスビルや約300室を備えた地上16階建てのホテルなどが誕生する予定だ。

JR川崎駅の南西で進むJR東日本の「川崎駅西口開発計画」

「川崎駅周辺は勤め人の多いまちではないか」

 ここまで川崎駅周辺のまちの様子を見てきた。駅周辺に大型商業施設と商店街、飲み屋街、映画館が近接していることが川崎の大きな強みとなっている。

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 日常的に川崎駅を利用するというある市民に駅周辺の印象について聞いてみた。

「バスも多くて交通の便が良いですね。ラゾーナの存在感は大きく、また映画・競馬・風俗など娯楽も多いです。確かに治安の悪そうな所もあるし、ちょっとガラの悪そうな人もいますね。でも昔のイメージほど実際は悪くないですよ。いまの川崎駅周辺は勤め人の多いまちではないかと思っています」

 この「勤め人の多いまち」というのが川崎が「借りて住みたい街」として2位になった大きな要因だろう。

川崎を代表する飲み屋街「仲見世通」
さいか屋の跡地ではゼロゲートの建設が進む

「借りて住みたい街」ということは主にマイホームの購入を(まだ)検討していない、若年層や単身世帯がこうした検索を行う中心だろう。この層は職場に近く、ターミナルの周辺で買い物ができる利便性の高い場所を好む傾向がある。ここまで見てきたように川崎駅周辺はコンパクトなまちで、バスで通う範囲に事業所も多い。また「工場のまち」であるがゆえに娯楽も多い。つまり、若者・サラリーマンにとても向いているのだ。