いま「八王子」が「住みたい街」として注目されている。2月5日に株式会社LIFULL から発表された「“データで見た”首都圏『買って住みたい街』」の2位にランクインした(ちなみに1位は目黒、3位は恵比寿)。
八王子といえば東京西部の郊外に位置し、近年は近隣の立川と比較されて「多摩の中心は八王子から立川に移った」とマイナスな評価を受けることも多かった。その八王子が「人気」なのはなぜか、探ってみた。
「憧れのまち」ではなく、実際に「買って住みたい街」
まず「“データで見た”首都圏『買って住みたい街』ランキング」とは何かについて説明したい。
このランキングは不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME'S」で1年間に検索された数や問い合わせされた数といったデータを駅名を基準に集計している。2017年から現在の集計方法で調査が行われており、検索データをもとにしているため、「憧れのまち」ではなく実際の関心に近いランキングといえるだろう。
八王子は昨年のランキングで3位に、今年のランキングでは1つ順位を上げて2位にランクインした。つまり、現在のランキング方式になってからの3年のうち2年は「買って住みたい街」ベスト3に入っているのだ。
1日の乗降人数は「立川40万人vs.八王子23万人」だが……
この「八王子」人気に疑問を感じる人も多いのではないか。なぜなら、冒頭にあげたように「立川」と比較され、マイナスの評価を受けることが少なくなかったからだ。「八王子は衰退している」と言う人もいる。
確かに、駅の乗降人員で比較しても八王子はJRと京王合わせて1日約23万人に対し、立川は1日約40万人である。そして立川駅周辺には「伊勢丹」、「高島屋」、「グランデュオ」といった百貨店があり、駅ビル「ルミネ」や家具専門店「IKEA」などが駅徒歩圏に展開している。立川駅周辺の売り上げは年間約1460億円ある。対する八王子は約720億円。倍近い差があり、百貨店もない。
では、八王子駅周辺にはどんなものがあるのか。そこに人気の秘密があるかもしれない。実際にまちを歩いて見てみることにした。