文春オンライン

「スチュワーデスになりたい」IKKOさんが“自分は女性だ”と気づいた小学1年のとき

テレビっ子・IKKOさんインタビュー#1

note

小3で銀座のクラブのホステスにも憧れた

―― 学校ではどのようにすごしていたんですか。

IKKO 小2くらいまでは天真爛漫なタイプだったんです。でも後輩たちからオカマ、女男(おんなおとこ)、気持ち悪いみたいに言われて、ケラケラ笑われる。当時は「オカマ」って言葉で汚いものを私が背負って生きているような感覚にとらわれてイヤでした。

 だから1人になればこういう言葉も聞かなくてすむのかなって思って、人との関係を避けて、自分の中に閉じこもるようになってしまいました。

ADVERTISEMENT

 

―― 当時は、テレビも今より性的マイノリティの方に対して差別的でした。

IKKO その頃は「シスターボーイ」なんて呼ばれ方をしてましたね。自分が女として生きていきたいだけなのに、私みたいな者は夜の商売しか生息地がないのかなって、思う時期もありましたね。そうそう、学生時代に夢中になったドラマが『ぬかるみの女』。博多の中洲のクラブで働いている主人公が、大阪のミナミに移って、最終的には銀座に店を出すっていう話。脚本を書いた花登筺(はなと・こばこ)さんのシリーズはすごい好きだった。女が耐えて、耐えて、耐えて、創意工夫でのし上がっていく。『ぬかるみの女』では三つ指ついて、「お帰りなさいませ」みたいな所作が美しくて、そういうシーンが鮮明に残ってますね。

 じつは小学3年生のころから銀座のクラブのホステスや芸者にもなりたかった。女じゃないから無理なんだけど。とにかく綺麗なものが好きだったんです。日本髪を結って、舞いを舞って、いつも美しい着物を着て。高級クラブのきらびやかなインテリアの中で、政財界の人たちを相手にして。そういう世界が素敵だなって。

―― 小学校中学年で! 早熟ですね。

IKKO その頃は『ウィークエンダー』(日テレ系、夜のワイドショー)とかも好きでしたよ。お母さんが「見ちゃいけない」って言うから、それは見たくなるじゃない(笑)。アニメも大好きでした。『魔法使いサリー』、『魔法のマコちゃん』、『ひみつのアッコちゃん』から『アルプスの少女ハイジ』。それと『私のあしながおじさん』。『トム・ソーヤーの冒険』も好きだった。

 それに歌番組ものめりこんでました。『ロッテ歌のアルバム』をずっとね、日曜日に見てたでしょう。『ザ・ベストテン』、『ザ・トップテン』、あとは『夜のヒットスタジオ』、『紅白歌のベストテン』……全部、見てましたね。