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IKKOさんが語る“テレビ界の恩人”「死化粧のとき、逸見政孝さんの目から一筋の涙が……」

テレビっ子・IKKOさんインタビュー#2

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 ヘアメイクの世界に飛び込んだIKKOさんは着物撮影ですぐに評判を呼ぶ。

 そしてテレビ界との接点になったのが『SHOW by ショーバイ!!』『平成教育委員会』などで国民から愛された逸見政孝さんだった。逸見さんのヘアメイクとして信頼されたIKKOさんがテレビの表舞台にデビューするまで。(全3回の2回目/#1#3へ)

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着物の撮影で「この5ミリが大切なのよ、IKKOさん」

―― 横浜・元町のヘアーサロンで8年間働いて、その後、独立されてヘアメイクの世界に入られます。

IKKO 最初、フリーとしてやっていたんだけど、全然仕事がなくて。半年後にヘアメイクの事務所に入ったんです。私の場合、着物撮影のヘアメイクができるっていうのが大きかったんです。入って2カ月もしないうちに、「着物の仕事だけどやってみる?」って言われて「やります」と。今考えると度胸あるなって思う(笑)。それですぐ『美しいキモノ』という雑誌の表紙をやっていました。最初が女優の眞野あずささん。『家庭画報』『婦人画報』『ミセス』『マダム』『ラ・セーヌ』のような雑誌の表紙を飾る人ってだいたい決まっていたんですよ。その人たちのメイクをやったら一流といわれていた。それを入って2、3カ月で出来たんです。

IKKOさん

―― その頃に出会われた女優さんで、印象に残っている方はいますか。

IKKO 松尾嘉代さんですね。石立鉄男さん、杉田かおるさんとドラマ『パパと呼ばないで』に出ていた女優さんです。とにかくすごかった。着物の撮影のときに1時間近く横座りしていたんですよ。その体勢を支えている手が、私は椅子についていると思っていた。でも違うんです。ずっと浮かせているんです。5ミリ浮いていた。「この5ミリが大切なのよ、IKKOさん。楽な格好をすると美しくない」って。すごいでしょう。