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「死化粧のとき、逸見さんの目から涙が……」

―― その後、IKKOさんは逸見さんのヘアメイクを続けられて、逸見さんが亡くなられたとき(1993年)、死化粧をされたんですよね。

IKKO あれは亡くなる前日の12月24日。私は『ミセス』の撮影で山梨にいたんですよ。撮影が終わって友達とクリスマスパーティをすることになっていたので、都内に戻ってその前にシャワーを浴びたんです。シャワーから出て、そういえば逸見さんはどうしているかしらって急に気になって、逸見さんの付き人の義理の弟さんに連絡したら「ちょっと危ないから、来てくれませんか」って。すぐに病院に向かうと、そのときはちょっと持ち直して。「逸見さん、逸見さん」って呼びかけると、体が揺れるような反応があって。「ありがとう」って言ってくれているみたいでしたね……。

 次の日は別の仕事で、その現場に向かっている車の中でうちのマネージャーからポケベルに連絡があって、「亡くなったわよ」って。本当に悲しかったです……。お通夜のとき、娘さんの愛ちゃんがメイクをしようとしていたんだけど、弟さんが「できたら生前と同じようにIKKOさんにメイクをしてもらいたいんだけど、大丈夫ですか?」って言われたんです。私は初めての経験でできるかなって不安に思ったんですけど、お化粧を綺麗にして、髪の毛を整えたら、逸見さんの目から涙が出てきたんです。お経をあげるまでは魂がそこらへんにいるっていうけど、本当だなって思いましたね。

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IKKOさんのテレビデビューは41歳

―― ヘアメイクで裏方として支えてこられたIKKOさんがテレビの表舞台にデビューしたのは?

IKKO 41歳のときです。TBSの『ジャスト』という情報番組の「マダムに会いたい」というコーナーに出たんです。それは15分のコーナーだったんですけど、撮れ高が良かったらしく、時事ネタが少なかったら、もうちょっと伸ばすかもしれないって言われていたんですよ。そしたら当日電話がかかってきて「45分になりました」って。

―― ええ、3倍! スゴい!

IKKO 反響もスゴかったですよ。視聴率もすごく良くて、『ジャスト』のトップの人からお花も届きました。それで『ジャスト』に「IKKOの幸せメイク」というコーナーを持つようになったんです。