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IKKOさんが語る“テレビ界の恩人”「死化粧のとき、逸見政孝さんの目から一筋の涙が……」

テレビっ子・IKKOさんインタビュー#2

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なぜ逸見政孝さんのヘアメイクをすることに?

―― その後、アナウンサー逸見政孝さんのヘアメイクをされていたんですよね。着物の世界とはかけ離れているようにも思えますが、どんな経緯で?

IKKO 奥様からの紹介だったんです。逸見さんがフジテレビから独立して『クイズ世界はSHOW by ショーバイ!!』をやり始めた頃だったと思います。直角のパチッとした髪型から、ちょっと崩れた感じになったでしょう、イメージを変えて。最初に奥様から「うちのパパをやってほしいんだけど」と言われたときは迷ったんです。『dansen』って男性専門誌で男性メイクの経験はあったけど、どういうふうに逸見さんのヘアメイクをしていけばいいんだろうって。

 

―― 逸見さんはどんな方でしたか。

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IKKO 真面目でしたよ。もう、棒のように一直線。やっぱり逸見政孝さんとの出会いも私の人生のターニングポイントのひとつです。すごいなっていうことしかなかったですよ。芸能人なのに、こんなに真面目なんだって。時間に正確で、仕事が終わったらすぐ直帰。

 だから、私も現場に1時間前に入って、30分前にはもう準備を終えて、いつでもお出迎えできるようにしていたんです。それでも、たまに逸見さんのほうが早いときがあるのよね(笑)。そのくらい真面目な方でした。

―― 印象的だった言葉ってありますか。

IKKO ある時、逸見さんに「どうやったら一流になれるんですか」って訊いたことがあるんです。すると「どんな人でも一流になれるものはあるんじゃないでしょうかね」って言うんです。だけど、チャンスとかそういったものっていうのは、いつ来るかわからない。「田舎のバス停でバスを待っているようなもの」なんじゃないかって。何時間に1本か、あるいは1日に1本、来るかどうかわからないけど、それに乗る準備ができているかどうか。いざバスが来たからと行って、じゃあそのバスに飛び乗っていいのか。それを見極める目が大切なんじゃないでしょうかっておっしゃっていましたね。