文春オンライン

「ジャンプ」「サンデー」「マガジン」で育ったがゆえの刷り込みとは?──恩田陸 (後篇)

話題の作家に瀧井朝世さんがみっちりインタビュー「作家と90分」

2017/02/26
note

 読者からの質問

■ピアノコンクールの物語といえばマンガの『ピアノの森』を連想し読了した後もまた交互に読んでいますがお読みになったことありますか?(30代・女性)

恩田 『ピアノの森』はもちろん読みましたよ。『のだめカンタービレ』も読みました。面白かったです。

■『三月は深き紅の淵を』が大好きなのですが、作中作品である同名小説を実際に書かれる予定はありませんか?(20代・女性)

ADVERTISEMENT

恩田 お読みになったものがまさに『三月は深き紅の淵を』という本というわけです。メタフィクションになっているんです。

■目に見えない音楽を言葉にするという事はとても難しい事だと思うのですが、今回それに挑戦されたのはなぜでしょうか? また、音楽をうまく言葉に表せないと感じた時はありましたか? あったとすれば、どんな方法で言葉を見つけられたのでしょうか?(30代・女性)

恩田 インタビューでも言いましたが、案外小説と音楽は相性がいいんだなと思いました。頭の中で自由に音を鳴らせるというのは、その小説を読んでいる時の楽しみのひとつだと思うので。音楽についてがっちりと書いてみたかったというのがあって書き始めて、苦労しましたけれど、とりあえず達成できたのではないかと思っています。うまく表せないと感じた時は、とりあえずその曲を聴いて聴いて聴いて、どう書こうか毎回考えていましたね。

■執筆する最中、音楽などは聴かれますか?(30代・女性)

恩田 聴かないです。私はながら書きができないんですよ。今回は音楽がテーマでしたが、音楽を聴く時は資料としてじっと聴いていて、書いている時には音楽はかけませんでした。

■20年前には、「UFOかと思うドローン」や「テレパシーかと思うインターネット」は超人か超能力者しかできないことでした。これからのSFやファンタジーはどうあるべきだと思われますか? ちなみにファンタジーのつもりがクローン牛のように全然ファンタジーでなかったら嬉しいですか? 悲しいですか?(30代・男性)

恩田 一時期みんなSFになっちゃったという時期があって、今はわりとみんなファンタジーになっちゃったように思います。どうあるべきかは分かりませんが、これからますますジャンルは解けて、ただの「小説」になっていくのではないでしょうか。それについては、嬉しいも悲しいもないですね。

■今まで書いた作品の中で、一番好きな登場人物は誰ですか? また、誰か代わってみたいキャラクターはいますか?(30代・女性)

恩田 代わってみたいといえば、マサル・カルロスみたいに格好いい王子様になってみたいです。ピッカピカの王子様になってみたいですね(笑)。

■『蜜蜂と遠雷』は『ブラザー・サン シスター・ムーン』とは別の音楽ジャンルの話ですが、音楽への愛情が凄く感じられます。最近聴いている音楽や好きなアーティストを知りたいです。(50代・男性)

恩田 ピアノが好きで、クラシックもジャズもピアノばかり聴いています。今好きなのは上原ひろみとか、ブラッド・メルドーとか。ふたりともジャズピアニストで、素晴らしいです。

■作品の質問じゃなくて、すいません。恩田さんといえばビール好きで有名ですが、ビールって、アルコールに強いだけじゃなくて腎臓も強くないといけないと思います。腎臓のケアのために、何かやってますか? (50代・男性)

恩田 はい、塩分を控えています。

■X JAPANのYOSHIKIさんが、ピアニストとして、コンポーザーとして、カーネギーホールでの2日間の公演を成功させました。『蜜蜂と遠雷』のマサルが夢見た新しい「クラシック」の事を思い出しました。このように、小説の世界と現実の世界が繋がる瞬間は、私にとって読書の楽しみの一つですが、恩田さんはいかがでしょうか? 読者としてそのような経験がお有りでしたら、お聞かせ願いたく思います。(40代・女性)

恩田 最近クラシックの新人の人で、コンポーザーピアニストというのが少しずつ出てきているんですよね。ブレンデルという有名なオーストリアのピアニストがいて、その人の弟子で、バッハの曲と自作の曲を一緒に録音したり演奏したりする人がいるんです。本当にこの先もうちょっと普通に出てくるかもしれないなと思っています。最近だとそれが印象に残っています。

■著作の中で一番好きな、もしくは思い入れのある作品および登場人物とその理由を教えてください。(40代・女性・ほか多数)

恩田 強い人が好きなので、それこそ『蜜蜂と遠雷』のマサルとか。『上と外』に出てきたニコラス=グティエレスみたいなスーパーな登場人物が好きです。

■風間塵のように演奏していると思える、現実のピアニストはいますか?(40代・女性)

恩田 いえ、想像上の存在で、モデルになった人はいません。

■『チョコレートコスモス』(06年刊/のち角川文庫)の続篇の『ダンデライオン』の見通しはまだ立たないのでしょうか。楽しみにしています。(30代・男性)

恩田 今、最後の部分を書いています。佐々木飛鳥の一人芝居の部分です。

「ジャンプ」「サンデー」「マガジン」で育ったがゆえの刷り込みとは?──恩田陸 (後篇)

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー

関連記事