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連載池上さんに聞いてみた。

池上彰氏が「北朝鮮側といい話し合い」発言から考える、トランプ大統領の“思惑”

池上彰氏が「北朝鮮側といい話し合い」発言から考える、トランプ大統領の“思惑”

池上さんに聞いてみた。

2019/11/07
note

Q 「決裂」と「いい話し合い」?

 北朝鮮の非核化にむけた実務者協議が行われました。北朝鮮の金明吉首席代表は「決裂した」、アメリカのモーガン・オーテイガス国務省報道官は「北朝鮮側といい話し合いを行った」とコメントしています。実情はどうなっているのか、知りたいです。(20代・男性・学生)

A 北朝鮮の代表の発言の方が実態に近いでしょう。

 これは北朝鮮の代表の発言の方が実態に近いでしょうね。双方の主張に隔たりがあり、話はまとまらなかったのです。

 北朝鮮としては、話がまとまらなかったことの不満を述べたのです。早くアメリカとの話し合いをまとめたい焦りが見えます。

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 一方、アメリカはトランプ大統領が、来年の大統領選挙を見すえ、「オレの力で北朝鮮との関係を改善した。北朝鮮の核開発を止め、長距離ミサイルの発射をやめさせた」と宣伝したいのです。そこで、「北朝鮮とはいい話し合いをしている」とアピールしたのでしょう。

トランプ大統領 ©AFLO

 会談の後の双方の会見は、どちらも自分たちに都合のいいように誘導します。いま双方がどのような状況に置かれているかを冷静に分析すると、実情が見えてきます。

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