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30年前『いいとも』で初バラエティ “非難の嵐”でも田嶋陽子がテレビに出続けてきた理由

フェミニズムの“パイオニア” 田嶋陽子さんインタビュー#2

2019/11/04
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たけしさんは、私の言うことを一番わかってた

―― 『TVタックル』で長く共演されているビートたけしさんについては、どんな印象ですか?

田嶋 たけしさんは、私の言うことを一番わかってた人だと思う。とくにアフリカから来たゾマホンさんと仲良くしてから変わったね。あるとき、「先生が女に下駄をはかせなきゃいけないと言ってたのが、よくわかったよ。アフリカ見てると、抜け出そうと思っても抜け出せないもんな。ある程度、下駄をはかせないとダメだよ」って言ってくれたね。うん、それはすごくうれしかった。

―― 2003年からは『たかじんのそこまで言って委員会』にも数多く出演しています。亡くなったやしきたかじんさんや三宅久之さんとの思い出はありますか?

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田嶋 たかじんさんは、すごくシャイな人で、お酒を飲んでもなかなか打ち解けない人でした。亡くなる数年前に『ラスト・ショー』という歌を贈って下さったけど、難しい歌で生前には歌えなかった。亡くなってから3年間歌い続けました。

 三宅さんとはよくケンカしたんですけど、ほんとにいい人なんですよ。番組が終わって新幹線で一緒になると、「先ほどは失礼しました」って謝るの。でも毎回だから、そのうち謝るのがイヤになったんでしょうね、飛行機に乗るようになって。それまでは、いつも私に謝ってたんだよ。私が歌のコンサートを開くときには、大きな花と一緒に手紙をくださってね。手紙には、「みなさんの前でお読みください」と但し書きが入ってる。舞台上で読み上げると、いきなり「みなさん、こんなヘタな歌をよく聴きにきてくださいました」って書いてある(笑)。そして、「それでも頑張ってるから、どうぞ応援よろしくお願いします」って。本当に面白くて、優しい人でした。

 

―― 先生は、三宅さんのように思想の異なる方との交流も多いですよね。人づきあいで心がけていることはありますか?

田嶋 一つだけ決まり事があるんです。私は、すごく気が弱いんですよ。『TVタックル』に出た最初のころ、出演者のみんなと一緒に飲んだことがありました。でも、気持ちが通じちゃうと番組で立ち向かえなくなるんです。どうでもいいことは批判できても、根本を批判できない。それじゃあ、自分が何のためにテレビに出てるのか分からなくなる。それ以来、番組の出演者とは一緒に飲みに行かないと決めたの。それほど気が弱いのね(笑)。だから、それだけは守ってる。