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30年前『いいとも』で初バラエティ “非難の嵐”でも田嶋陽子がテレビに出続けてきた理由

フェミニズムの“パイオニア” 田嶋陽子さんインタビュー#2

2019/11/04
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毎回1つでもいいから100回出ればいい

―― 『そこまで言って委員会』は「右傾化番組」の代表のように言われることもありますが、どんな思いで出演を続けてらっしゃいますか?

田嶋 私のファンの人は、『TVタックル』のころからいるんですよ。番組で私がいくら批判されても、見てくれてる人はいる。別に番組のことを考えてるわけじゃないんだけど、私が出なかったら私の立場でものを言う人がいなくなりますよね。世の中は、違う意見の人同士が一緒に暮らしてるわけだから、番組を右翼だけで固めるというのも不自然でしょう。私は、喧嘩しようがしまいが、自分の意見表明の場だと思ってます。上の人に私と同じ意見の人をもう1人増やしてくださいとお願いしたんだけど、「センセイ1人で十分ですよ」って聞いてもらえなかった(笑)。

 

 

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―― 先生がテレビに出続けることで、多くの人にとって田嶋先生がフェミニズムの入口になってきたと思います。

田嶋 最初のころは、毎回あれ言おうこれ言おうと思って出て、邪魔されて1つしか言わせてもらえなくて悔しくて。そのとき、毎回1つでもいいから100回出ればいいと思った。今考えると、テレビは自分が出たくて出られるわけじゃないんだから、傲慢だよねえ(笑)。結果的には100回以上出てるわけだけどね。

 でも、自分の考えが間違ってなかったと思うのは、このインタビューもそうだけど、最近になって30代、40代の人に取り上げてもらうことが増えてきたことです。きっと、あのとき怒ってた変なおばさんの言うことが、正しかったのかもと思ってくれてるんでしょう。たくさんケンカして、批判されて、足蹴にされてきたけど、そうやって種をまくことはできたのかなって。

たじま・ようこ/1941年4月、岡山県生まれ、静岡県育ち。津田塾大学学芸学部英文学科、同博士課程を経て津田塾大非常勤講師に。元法政大学教授。元参議院議員。英文学者、女性学研究家。
フェミニズム(女性学)の第一人者として、またオピニオンリーダーとして、マスコミなどで活躍。最近は歌手活動や「書アート」活動も。『愛という名の支配』(新潮文庫)など著書多数。

#3 「『最近のフェミニズムどうですか?』田嶋陽子さんに聞いてみた」に続く)

写真=白澤正/文藝春秋

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30年前『いいとも』で初バラエティ “非難の嵐”でも田嶋陽子がテレビに出続けてきた理由

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