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「70代以上の9割が発症」の白内障治療 4月から「得する人」と「損する人」の違いとは

医療保険に「先進医療特約」を付けている人は要注意

2020/02/08
note

4月の制度変更で「損をする人」も出てくる?

 ところが、平松医師は「逆に損をする人もいる」と警鐘を鳴らすのだ。

「民間の医療保険に入っていて“先進医療特約”を付けている人は要注意です。

 一般的に保険会社が先進医療特約を勧める時は、重粒子線治療や特殊な免疫療法のような“がん”に関係した治療技術をカバーできることをアピールするので気付きにくいのですが、多焦点レンズを使った白内障手術も先進医療なので、この特約を付けている人は手術費も含めて保障されていました。ところが、先進医療から選定療養に変わると、特約の保障範囲から外れるので、自費の部分は自分で支払わなければならなくなるのです。

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 4月にこうした制度変更の可能性があることをきちんと契約者に伝えている保険会社がある一方、あまり積極的に告知していない会社もあるようです。先進医療特約は月々の掛け金が数百円程度なので、中には自分が特約を付けていることを忘れている人もいますから……」

医療保険に「先進医療特約」を付けている人は要注意

 今回のこの記事は、とてもややこしくてわかりづらかったと思います。書いている記者も、それぞれの医師に取材した後、何度もメールでのやりとりを繰り返してようやく概要を理解したほどです。

 しかも、多焦点レンズを使った白内障手術が3月一杯で先進医療から外れて選定療養に移行する、という件はまだ決定ではない、というのももどかしいところです。

©iStock.com

「この手の話はギリギリまで決まらなかったり、直前まで発表されないことが多い。でも、手術を受けるのに“今日決めて明日やろう”というわけにもいかないので、私たち医療現場の人間が『こうなりそうですよ』と地道に伝えていくしかないんです」

 そう語る平松医師は、自身の患者で多焦点レンズを使った白内障手術を希望する人に向けて、シンプルに、こう伝えているといいます。

「医療保険に先進医療特約を付けていれば4月以降高くなり、そうでない人は安くなる可能性が高い」

 ご理解いただけましたでしょうか。

「70代以上の9割が発症」の白内障治療 4月から「得する人」と「損する人」の違いとは

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