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イチロー「伝説の一打」を陰で支えた男が明かす「日本で活躍できた外国人選手の共通点」

『ザ・スコアラー』(角川新書)

2020/02/13
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投手選びの大事なポイントは

 そしてディクソンと並んで獲り逃したのが、いまもソフトバンクに所属しているリック・バンデンハークでした。彼はメジャーリーグではそれほど実績を残せなかったのですが、韓国のサムスンで投げていて、桁はずれの三振を奪う力と異国でもしっかりと地に足をつけてプレーできる高い環境適応力を備えていました。つまり、成功が予想できた投手でしたから、ディクソンのような掘り出し物とは事情が異なります。本人や家族ともいい関係が結べていて、「これなら契約までいけるだろう」という手応えがあったにもかかわらず、マネーゲームで敗れてしまった。ソフトバンクに入った初年度(2015年)は、9勝で負けはなんとゼロ。その活躍を見るのは、さすがに悔しかった。

リック・バンデンハーク ©文藝春秋

 このディクソンやバンデンハーク、そしてマイルズ・マイコラスやクリス・ジョンソンなど、近年日本球界で結果を出した投手に共通するのは、長身で手足が長いことです。日本人にはそうした投手はあまりいませんから、日本人の打者はなかなか慣れることができません。やはり、慣れというのは重要なもので、日本球界においては身長と手足の長さがあれば、しばらくのあいだはアドバンテージになります。

マイルズ・マイコラス ©文藝春秋

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 ただ、それだけで獲得する選手を選んでしまうのは危険です。肘までを伸ばした状態をつくって、それを振りまわすようにして投げるアーム式の投球フォームの投手は、どんなに手足が長く球速があっても、獲得は少し考えたほうがいい。そうした投げ方だとボールが見えやすく、打者からすると打ちやすいのです。しっかり肘をしならせて投げているかどうかも、投手選びでは大事なポイントになります。