1月2日、3日に行われる箱根駅伝。年々、加熱の一途を辿っているのがシューズメーカーの戦いだ。毎回、選手だけでなく、選手の足元も念入りにチェックしてきた駅伝マニア集団「EKIDEN News」の西本武司氏から、驚くべき情報がもたらされた。「われわれは毎回、出場全選手のシューズをチェックしてきましたが、今回はほとんどの選手が同じシューズを履きます。なんと出場選手のうち約8割が『ナイキ ズームX ヴェイパーフライ ネクスト%』を履く可能性があるのです」。今、シューズメーカーの戦いに何が起こっているのか――。西本氏が解説する。

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「ヴェイパーフライ」を履いたランナーが続々と記録更新

 2019年は世界中のあらゆる場所で、自己ベストとコースレコードが量産された年でした。なぜか。背景にナイキの厚底シューズ「ヴェイパーフライ」の進化があるのです。

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 日本では、日体大記録会や箱根駅伝予選会で多くの自己ベスト更新が生まれました。これはトップレベルの選手に限った話ではありません。

箱根駅伝予選会はヴェイパーフライだらけ

 先日、港区で行われたMINATOシティハーフマラソンで僕は解説をしたのですが、スタートライン2列目までの選手は全てヴェイパーフライ、そして1位から4位までをヴェイパーフライを履いたランナーが独占しました。埼玉国際マラソンでは61歳の女性がヴェイパーフライでサブスリーを出し、年代別の世界記録を更新。同じ日に中国の広州マラソンでは、筋断裂をして一線から退いていた、2012年ロンドン五輪代表の台湾人ランナー・張嘉哲選手が、ヴェイパーフライを履き、38歳にして自己ベストを更新しました。

 世田谷ハーフマラソンでは、これまで「アディダススクール」と呼ばれアディダス一辺倒だった青山学院大学の選手の約8割がヴェイパーフライにシフト。例年なら今の時期、アディダスとしては青学大と組んで箱根に向けたキャンペーンを打ち出したいところですが、ウェアはアディダスでもシューズがほとんどナイキなので写真が撮れない。足を写さないわけにはいかないし、アディダスとしては悩ましいところでしょうね。

本来ならスパイクで走る日体大記録会もヴェイパーフライが目立った。右後方に見えるオレンジ集団・青学大もほとんどヴェイパーフライ

 ではトップランナーから市民ランナーまで、なぜヴェイパーフライを履いたランナーたちが続々と記録を更新しているのだろうか。