東海大学の初優勝にわいた第95回箱根駅伝。最後まで熾烈な戦いが繰り広げられた裏では、もう一つの熱い戦いがあった。各メーカーのシューズ戦争である。あの選手はどこのメーカーのどのシューズを履いていたのか。前回大会と比べ、シューズ勢力図はどう変わったのか。今年のトレンドを、駅伝好き集団「EKIDEN News」(@EKIDEN_News)の西本武司さんがマニアックに読み解く。
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今年の主役もやはりナイキでした。ナイキは昨年の箱根駅伝で、これまでの「靴底は薄いほうがいい」という常識を覆す、まったく新しい厚底シューズ「ヴェイパーフライ4%」を投入してきました。昨年、男子フルマラソン日本記録が2度も更新。設楽悠太、大迫傑両選手がこのシューズを履いたこともさらに追い風となりました。2018年の箱根駅伝がヴェイパーフライ4%のデビューの年だとしたら、2019年はヴェイパーフライシリーズが一気に広まった年といえます。
2年で約3倍に増えたヴェイパーフライ
どれぐらい広まったのか、まずは2019年の内訳を見てましょう。
【2019年箱根駅伝のシューズ内訳】
・ナイキ 95人(ナイキV【ヴェイパーフライなどの厚底タイプ】=87人+ナイキ【その他のナイキ】=8人)
・アシックス 51人
・ミズノ 24人
・アディダス 39人
・NB(ニューバランス) 21人(NBML【NBのミムラボモデル】=15人+NB【その他のニューバランス】=5人+ML【三村モデル】=1人)
昨年の内訳はこうでした。
【2018年箱根駅伝のシューズ内訳】
・ナイキ 58人(ナイキV【ヴェイパーフライなどの厚底タイプ】=39人+ナイキ【その他のナイキ】=19人)
・アシックス 54人
・ミズノ 37人
・アディダス 35人
・NB(ニューバランス) 23人(NBML【NBのミムラボモデル】=18人+NB【その他のニューバランス】=5人)
・ML(三村モデル)【NBと契約する前に三村さんがミムラボで作ったシューズ】=3人
ちなみに2017年にナイキを履いた選手は36人。この2年で3倍近くに増えています。ナイキは箱根駅伝のタイミングに合わせて昨年12月に、東洋大学の選手たちをモデルに起用し、ジョグやレースなど、目的やレベルに合わせて選べる5つのモデル「EKIDEN PACK」を発売。このモデルは爆発的人気を集め、発売から数分でソールドアウトとなりました。
このEKIDEN PACKを箱根駅伝では多くの選手たちが着用していました。白地に赤のスウォッシュが入ったデザインといえば、思い出す人も多いのではないでしょうか。