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“鉄の女”が尊敬する“信念の男”とは? 上川陽子法相は“日本版ハリス”になれるか

はんこ廃止、犯罪被害者支援…夫は東大時代のクラスメート

2020/11/12
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近年は「テッパン法務大臣」とも呼ばれる上川氏

 婚姻届や離婚届の押印は廃止する――。これまで「婚姻届(離婚届)に、はんこを押させる」という文言は、男女の駆け引きとして日本の慣習にそぐう常套句だった。しかし、そんな文化もなくなることになりそうだ。

 そうした方針を10月9日に示したのが、上川陽子法務大臣(67)だ。2018年、2回目の法務大臣在任中にオウム真理教事件の死刑囚13人への死刑執行命令を出すという「大役」を果たしており、日本犯罪史上の大事件だったオウムの死刑を執行をした法務大臣として歴史に名を刻んだ。一方で、国会答弁や報道対応で示してきた安定感が菅新政権での3度目の法務大臣就任につながった。近年は「テッパン(鉄板)法務大臣」と言われ、目立たないまでも存在感がある。「鉄の女」の異名もふさわしい。

上川陽子法務大臣 ©時事通信社

婚姻届や離婚届などのオンライン化も

「はんこ廃止方針」の記者会見で、上川氏は「行政手続きの見直しを強力に推進する政府方針に沿って、現在は廃止する方向で検討をしている」と発言した。河野太郎行政改革担当大臣が9月24日、全省庁に行政手続きで印鑑を使用しないよう求めたことに関連した対応だが、市民生活に直接関わる話だけにインパクトは大きい。

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 上川氏は10月13日の記者会見で再度、この件に触れ「(押印は廃止するが)署名は引き続き維持する。戸籍の届け出は、人生の大きな節目の手続き。丁寧に検討を進める」とも語った。さらに、婚姻届や離婚届など、戸籍の届け出のオンライン化についても「制度上可能だ」と指摘し、届け出を受理する市区町村に対応を要望した。

菅義偉 ©文藝春秋

 上川氏は1953年、静岡市生まれ。カトリック系女子中高一貫校である静岡雙葉中学校・高等学校に通った。10月13日には、同校新聞部から取材を受けたとして、ツイッターのタイムラインで「テーマは女性活躍について。質問し答を聞きながらメモを取る後輩達の姿は誇らしく。雙葉の6年間は将来の基盤を作る重要な時期であったことを強く感じたひと時でした。常に問題意識をもって自らの人生を切り拓いていかれますよう期待しています」とエールを送っている。