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そもそも、なぜ異例の出世ができた? 黒川前検事長が陰で呼ばれていた「意外なニックネーム」

そもそも、なぜ異例の出世ができた? 黒川前検事長が陰で呼ばれていた「意外なニックネーム」

2020/05/26
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 1月31日に“前代未聞”の定年延長が閣議決定されてからおよそ4カ月。検察ナンバー2だった黒川弘務・前東京高検検事長の引責辞任で騒動は一応の決着を見た。

黒川弘務氏 ©時事通信社

 法務・検察関係者が語る。

「検察庁法では検事総長を除く検察官の定年を63歳、総長を65歳と規定していますが、現在の稲田伸夫総長は1956年8月生まれのため、最長で来年8月まで今のポストにいられる計算になります。ただ、総長在任は2年間が相場のため、この夏までです。検察内部で従前から稲田総長の後任と目されてきた林真琴・名古屋高検検事長は1957年7月生まれなので、63歳を迎えようとするこの夏までのタイミングで“禅譲”が行われるはずだったのです。

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 しかし、安倍政権が政権ベッタリの黒川氏を総長に据えようと、稲田総長に退任をいくら迫っても総長がどうしても首を縦に振らなかったことから、黒川氏が63歳の定年を迎える2月8日を前に、定年延長制に基づき定年延長を決めたというわけです。しかし、検察官は定年延長制の対象外とした1981年の政府見解があると指摘されると、安倍政権は法解釈を変更したと強弁。変更の経緯が文書で残っていないと追及されると、口頭で決裁したと釈明し、ついには脱法措置を正当化させるかのように定年延長制度を盛り込んだ検察庁法改正案を国会に提出したのです」

森雅子法務大臣 ©時事通信社

 結局、安倍総理は5月18日、自民党の二階幹事長と会談し、改正案の今国会での可決・成立を事実上見送る方針で一致した。「週刊文春」が黒川氏の緊急事態宣言下での賭けマージャンについて同17日に黒川氏を直撃したことに加え、俳優の西田敏行さんや歌手のきゃりーぱみゅぱみゅさんら著名人を含めインターネット上に批判の声があふれたことが大きかった。それでなくとも「アベノマスク」など新型コロナウイルスへのまずい対応で支持率が落ちていることに危機感を強めていた。そして、「週刊文春」がスクープ速報で同20日、賭けマージャンを報じたことで、黒川氏は辞任の意志を固め、同21日に辞表を提出したという顛末だ。